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個人株主の株主総会や議決権行使に対する関心の高まりを受けて、近年、IR活動や株主総会の充実を図る上場会社が増えています。今回は、招集通知や報告書による株主へのきめ細かい情報提供を行っている、昭栄株式会社の取り組みをご紹介します。
株主とのコミュニケーションはコーポレート・ガバナンスの面からも重要 ―まず、3月25日に開催された株主総会について、当日の様子などをお聞かせください。
今年の株主総会は、前年に比べて約1.5倍の300名ほどの株主の皆様にご出席いただきました。開始時刻前から多くの方にお集まりいただき、比較的余裕があると思っていた会場がほぼ満席になるほどの盛況ぶりで、質疑応答も活発に行われました。4年ほど前までは約50~60名ほどでしたから、その間に全体の株主数が増えていることを考慮しても、急速な伸びであるといえます。加えて、議決権行使比率も近年、80%台後半を維持しており、総会に来場されない株主の皆様も含めて、当社の取り組みに対して高い関心を持っていただいています。
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![]() 山内 豊 氏 / Yutaka Yamauchi 昭栄株式会社 常務執行役CCO 兼 人事・総務グループ担当 |
―毎年、総会参加者が増え続けている、また議決権行使比率が高い水準にある背景には、どういう理由があるのでしょう。
当社は、「小さくても存在感のある会社」を目指し不断の経営変革と株主価値経営を推進することを、ビジョンに掲げています。そのためには、業績の向上が何よりも重要ですが、同時にコーポレート・ガバナンスの強化も不可欠であると考えています。そのため、2005年に経営の監督と執行を明確に分離する委員会設置会社に移行し、取締役の過半数を社外取締役とするなど、法律の規定以上に厳しいガバナンス体制をとっています。
このような監督と執行の仕組みの中で、株主総会は経営の骨格を決定する場であるとともに、株主の皆様と経営陣とのコミュニケーションの機会と位置づけ、総会当日の運営はもちろんのこと、事前の情報提供などにも積極的に取り組んでいます。
株主から納得してもらうために事業の内容をわかりやすく説明
―御社は非常に歴史のある会社ですが、いつ頃から株主とのコミュニケーションを強化され始めたのでしょうか。
当社は1931年に製糸会社として設立されましたが、戦後、国内製糸業が衰退する中、1960年代頃から工場の跡地をショッピングセンターに転換するなど、資産力を活用して変革を遂げてきました。今日では不動産、有価証券投資、事業投資の3事業を展開する「ユニークな投資会社」へと変革を進めています。
「不動産投資会社」というビジネスモデルは、ともすれば複雑でわかりにくい、といった印象を持たれがちです。したがって、冒頭に述べた「株主価値経営」を確実なものにするうえでも、事業の内容を株主の皆様にわかりやすく説明し、十分にご理解いただくことが、何よりも重要と考え、数年前からさまざまな改善を重ねてきました。
一例を挙げると、招集通知には法律上の必要事項を記載すると同時に、グラフを多用した「事業報告」を盛り込んだり、ファクトブックには保有物件の所在地、投資有価証券の銘柄名などを紹介したりするといった工夫を凝らすようにしました。

大きな文字や写真、グラフを使ってわかりすさを追求した「第78期 報告書」
また、通常であれば総会終了後に決議通知と一緒に送付するケースが多い報告書を、2006年3月の総会から招集通知に同封しています。そうすることで、賃貸事業の収益や不動産の投資をどういう内容と規模で行っているか、といった詳細な情報を、議決権行使の判断材料として活用していただくことが可能になります。実際、株主総会では報告書の内容に関する質問が寄せられるケースもあり、株主の皆様との質疑応答をより有効なものにするツールとして機能していると感じています。
―そうしたきめ細かい対応が、高い議決権行使比率を維持している要因の一つといえるのかもしれませんね。しかし、限られた日数で充実した情報を発信するには、ご苦労も少なくないのではないでしょうか。
たしかに、時間との戦いでもありますから、総務とIR、経理の各部門が三位一体で取り組んでいかないと難しいですね。しかし、関係部門が緊密に連携を取り合うことで、決算短信から招集通知などの総会関係書類に至るまで、効率的に作成することも可能です。
また、総会やIRの実務とは直接関係のない事業部門のスタッフも、決算期に率先して情報の提供に協力してくれます。「株主価値経営」のマインドが、会社全体に浸透していることを実感しています。
―では最後に、今後の株主総会やIR活動にまつわる抱負などをお聞かせください。
現在でも、個人株主の皆様や国内外の機関投資家に向けた説明会を頻繁に開催し、トップが中期経営計画や事業の状況を説明していますが、説明会を開くには物理的な限界もあります。そこで、多くの方々に対して情報を発信するためにも、ホームページ上のIR情報のさらなる充実を図っていきたいと考えています。インターネットから議決権行使される方も少しずつ増えてきているだけに、郵送とインターネットの双方で十分な情報を発信し、また、どちらでも議決権行使ができる環境をつくることで、より多くの株主の皆様とのコミュニケーションができるのではないかと思います。