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株主総会や議決権行使に対する個人株主の関心の高まりを受けて、IR活動や株主総会を通して株主との対話を重視する上場会社が増えています。今回は、国内外を問わず株主との積極的なコミュニケーションに注力している、JSR株式会社の取り組みをご紹介します。
総会当日は株主から活発な質問も ―はじめに、6月13日に開催された今年の株主総会の様子についてお聞かせください。 株主総会に出席する株主は年々増えており、今年は299名の方にご来場いただきました。数年前から都内のホテルで開催していますが、昨年までの会場が手狭になってきたため、今年から別のホテルに場所を移しました。もちろん総会シーズンということもあり、簡単に予約がとれるわけではありません。それでも当社は集中日を避けて開催しているため、多少は負担が軽いのではないかと思います。
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![]() 広瀬 正樹 氏 / Masaki Hirose JSR株式会社 常務取締役 |
―近年は株主の発言も活発になっているようですが、御社の総会ではどういった質問がありましたか。
この3年の間に、徐々に株主の皆様から質問をいただくようになりました。今年も、経営方針や今後の成長分野、昨今の原油価格高騰の影響といった経営や事業に直結する内容から、人材育成の取り組みといった人事面に至るまで、多岐にわたる質問をいただきました。総会を通じて、株主の皆様の当社に対する関心の深さを認識すると同時に、改めて身の引き締まる思いがしました。
―総会では、映像などを用いた事業報告を行っているそうですね。
2003年の総会から、ビジュアル面を重視した事業報告と決算報告を行っています。当初は画像だけでしたが、一昨年の総会からはナレーションも入れており、視覚的にも聴覚的にもわかりやすい説明を心がけています。ただ、「今後対処すべき課題」などについては、ナレーションではなく社長が自ら説明するようにしています。社長の肉声でお伝えした方が説得力も増すと考え、内容に応じて使い分けています。
株主総会を通じて製品を身近に感じてもらう取り組み
―御社はいわゆる「B to B」のビジネスが中心であり、製品が一般消費者の目に触れる機会も少ないと思います。個人株主に御社の製品を理解してもらうために、いろいろとご苦労されているのではないでしょうか。
従来はタイヤや靴、ホース、ベルトといった、合成ゴムが使われている製品群が事業の中心を占めていましたので、個人株主の皆様にも具体的なイメージを持っていただきやすかったようです。それに対して現在は事業の多角化にともない、半導体やディスプレー用の素材といったように、部品として使われている、あるいは製造の過程で使われる製品の比重が高くなりました。
主力製品が日常生活ではあまり目に触れることのないものへとシフトしてきたこともあり、今年の総会では会場の横にミニ展示場を設け、当社の製品についてパネルなどで説明しました。また、昨年4月に会社設立50周年を迎えたのを記念して『これまでとこれからのJSR』という冊子を制作し、株主の皆様にも配布しました。
―株主総会の早期開催に取り組んでおられますが、どういう狙いがあるのでしょうか。
当社では、株主総会をIRの最良の機会と捉えており、できるだけ多くの株主の皆様にご参加いただきたいと考えています。そこで、他社の総会と開催日の重複を避けるためにも、早期開催を目指したのです。もっとも、開催日を前倒しするには決算発表を早めなければなりませんし、決算の数字が固まらないと準備が進まないと考え、決算手続きを早めることに注力しました。また、総会までのスケジュール管理を徹底して、前倒しできる作業は早めに手をつけるように心がけるなど、関係部署が連携しながら工夫を重ねた結果、集中日より2週間ほど早く株主総会を開催できるようになりました。
―国内の株主と同様に、外国人株主とのコミュニケーションや英語での情報提供にも注力されていますね。
1990年代後半から、海外でのIRミーティングを重ねてきました。現在では年3回のペースで、社長と財務担当役員が欧米や東南アジアの投資家を訪問しています。また招集通知についても、日本語と英語のものを同時発送し、海外の投資家の皆様が議案について十分な検討期間をかけていただけるように努めています。
インターネットを通じた個人投資家の議決権行使状況はいかがですか。
今年の株主総会における、個人株主による議決権行使のうち、電子行使の比率は4.6%でした。この数字自体は決して高くはありませんが、従来からの総会出席による行使、あるいは書面による行使に、インターネットによる行使を加えることは、多様な選択肢を提供するという意味でも重要だと考えています。またインターネットによる行使であれば、一度行使した内容を変更することもできます。インターネットの普及状況を考えると、今後はもっとインターネットの比率が伸びるのではないでしょうか。
最後に、個人投資家に向けたメッセージをお願いします。
2008年3月末時点で、当社の個人株主の持株比率は8.42%。以前に比べれば増えているとはいえ、石油化学業界全体の平均は19.7%ですから、当社にはまだまだ個人株主比率を高めていく余地があると思います。もちろん、取り扱う製品によるハンディキャップもあります。しかし、最近ではテレビCMを通じたPR活動も実施しており、以前に比べると当社の知名度は着実に向上しつつあると自負しています。これからも他社の事例を参考にしながら、個人投資家の皆様に興味をもっていただけるように、粘り強い取り組みを続けていきたいと考えています。