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対象有価証券に株式分割が行われた場合、有価証券オプションにも変更があります。株式分割が整数倍(例えば 1株から2株)であるのか、小数倍(例えば1株から1.5株)であるのかによって有価証券オプションの変更は異なります。
ここでは 小数倍の株式分割 における有価証券オプションの変更について見ていきます。
対象有価証券に 1株から1.5株への株式分割が行われた場合、保有有価証券オプションにおいては、
(1)有価証券オプション 1単位の権利行使が行われた際に発生する有価証券の売買数量(以下「受渡し単位」とします)を1.5倍にし、
(2)権利行使価格を 1.5分の1に調整します。
1株から1.5株への株式分割

この例における対象有価証券の売買単位は 1,000株とします。また、受渡し単位は、有価証券の売買単位と等しくなるので1,000株となっています。
1-1.受渡し単位の調整
ここで、対象有価証券において、 1株から1.5株への株式分割が行われました。対象有価証券を1,000株保有していた場合には、保有株式数は1,000株から1,500株になります。同じように有価証券オプションにおいても有価証券オプション1単位を保有していた人に対して、 1,000株分を売買する権利・義務を、1,500株分の売買をする権利・義務へと調整します。
整数倍の株式分割の場合には、権利行使時の株式数の調整のために保有建玉数を調整しますが、小数倍の株式分割の場合、建玉数に小数点以下の端数が生じる可能性があるため、建玉数の調整を行わず、受渡し単位の調整を行うこととしています。 したがって、この場合には、受渡し単位を 1.5倍することで、1,500株×1単位=1,500株の権利・義務の保有となるよう調整されます。
1-2.権利行使価格の変更
株式分割が行われた場合、 現物株式の 1株の価格は、理論上、分割比率に応じた価格に調整されます。 正確には、株価は需給関係によって決まるため、理論上の価格どおりにはなりませんが、当取引所においては、株式分割が行われた日の株式の基準値段を、株式分割前日の終値に基づき理論上の価格に修正しています。例えば、 1株から1.5株への株式分割が行われた場合、権利付最終日の終値が1,200円の時には、翌日の基準値段を1,200円×1/1.5=800円に修正しています。
有価証券オプションの権利行使価格は 1株の価格を基準として設定されていますので、株式の基準値段の変更と同様の考え方で、分割比率に応じた価格に調整されます。この例では、 保有している有価証券オプションの 株式分割前の権利行使価格900円は、1.5分の1の600円に変更されることになります(小数点以下は四捨五入)。
ここで確認しておきたいことは、株式分割によって元々保有していた有価証券オプションの価値に変化はないということです。
先の例に基づいて確認してみます。株式分割前、Aさんが権利行使価格 900円で1単位のオプションを持っていたとします。受渡し単位は1,000株でしたので、権利行使が行われた場合、900円で1,000株分の売買が発生することになっていました。金額換算すると、900円×1,000株×1単位= 90万円 となります。
株式分割後の有価証券オプションは、権利行使価格は 900円÷1.5=600円へ、受渡し単位が1,000株×1.5=1,500株へと調整されました。そのため、権利行使が行われた場合には、600円で1,500株×1単位分の株式の売買が発生します。これを金額換算すると、600円×1,500株×1単位= 90万円 になります。
このように分割前でも分割後でも、権利行使時の有価証券の売買を金額換算した額が同じになるので、有価証券オプションの価値は変わらないことが確認できました。
1-3.権利行使時の決済方法
さて、株式分割が行われても、通常、対象有価証券の売買単位が変化することはありません。そのため、対象有価証券の売買単位が 1,000株であるものに対して、権利行使時の受渡し株数が1,500株となると、売買単位未満である500株の取引というものはできません。この場合の 権利行使に係る決済 は、 有価証券と現金により行われる こととなります。
先の例において、Aさんはコールの有価証券オプションの買建玉を保有していたとします。そして、権利行使日当日の対象有価証券の終値が1,000円となったとします。そこでAさんはコールオプションの権利行使を行いました。
まず、考え方から解説します。
○ Aさんが支払う有価証券の買付け代金は、
権利行使価格 600円 × 受渡し単位 1,500株 × 1単位= 900,000円 となります。
これに対して、権利行使を受けた人は、本来ならば権利行使割当数量分の株式をAさんに渡すことになります。しかし、分割によって、権利行使時の有価証券オプション 1単位当たりの受渡し株数が1,500株に調整されており、売買単位未満となった1,500株のうちの500株分については、物理的に受け渡すことが不可能です。したがって、この500株分については、権利行使日の対象有価証券の終値で評価した額を現金で受け渡すこととしています。 なお、権利行使の決済は 1単位ごとに細分化して行われることに注意してください。つまり、1単位ごとに1,000株の有価証券の受渡しと500株分の現金の受渡しが行われるということです。仮にAさんが2単位のコールオプションを保有していて、2単位の権利行使を行った場合には、2,000株の有価証券の受渡しと1,000株分の現金の受渡しが行われることになります(3,000株の有価証券の受渡しではありません。)。
ゆえに、権利行使を受けた人は
現物株【 1,000株×1単位= 1,000株 】を渡し、
+ 現金 【 (権利行使日の対象有価証券の終値 1,000円×500株×1単位= 500,000円 】
を支払うこととなります。
○整理します。
| 権利行使を受けた人 | Aさん | ||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
||||||||||||||||||||||||||||||
○実際の決済方法
現金の授受についてみてください。互いに支払いと受取りが発生しています。 実際の決済は、簡便化のため受払いの額の差額で行われることとなります。 つまり、 Aさんの支払い分が40万円(90万円-50万円)超過していることから、Aさんが40万円の支払いを行うのみとなります。したがって、 Aさんは現金 40 万円を支払い、1,000株の有価証券を受け取り、 権利行使を受けた人は、1 ,000株の有価証券を渡し、40万円を受け取る ということとなります。
2-2.取引代金の計算方法
株式分割が行われた後、転売・買戻しで建玉の解消を行う際にも、取引代金の計算方法について注意点があります。 例えば、 Aさんは株式分割前に、この対象有価証券のコールオプションを15円で4単位売っていたとします。その際、有価証券オプションの売付け代金として 15円 × 1,000株 ×4単位= 60,000円 を得ることが出来ます。その後、 1株から1.5株への株式分割が行われたものの、しばらくして、この有価証券オプションの価格が15円となっていたとします。そこでこの有価証券オプションの買戻しを行いました。
この時の買付け代金は、 15円 × 1,500株 × 4単位= 90,000円 となります。
取引代金を比べてみると、株式分割前と後では、オプションの価格は 15円と変化はないにもかかわらず、受渡し単位を変更しているために、取引代金は異なっています。
このように、小数倍の株式分割が行われた場合、受渡し単位の変更があるため、取引代金の計算方法に変更がある点にもご留意下さい。
3.新規に有価証券オプションを設定
小数倍の株式分割が行われると、権利行使価格、権利行使時の受渡し株数ともに調整され、いずれも通常の刻み幅、通常の受渡し単位とは異なる数値となっていることから、当該有価証券を対象とするオプション取引を新たに行おうとする投資家にとっては、使い勝手の悪い商品となってしまっています。
そこで、権利落ち日に通常の権利行使価格の刻みで、かつ受渡し株数を対象有価証券の売買単位と同一とする新たなオプションを設定することとしています。この設定は、権利落ち後の理論的な対象有価証券の価格に基づき、新規限月の設定時と同様の方法で行われます。
最後に、今まで挙げてきた小数倍の株式分割が行われる場合の有価証券オプションの調整方法を確認しておきます。

対象有価証券の株式分割時における有価証券オプションの調整の注意点は、整数倍の株式分割(例えば 1株から2株への分割)であるのか、今回のような小数倍の株式分割(例えば1株から1.5株への分割)であるのかによって、調整方法が大きく異なるという点です。
整数倍分割については、Q&A「整数倍の株式分割が行われた場合の有価証券オプションの変更」をご参照下さい。