2009/06/10 更新
平成13年9月、東京証券取引所では、新しくREIT市場を創設し、取引がスタートし、現在(平成21年3月末)、40銘柄が上場しています。
REIT(リート、Real Estate Investment Trust)は、投資者から集めた資金を賃貸ビル等の不動産で運用し、その賃貸料等を分配金として投資者に支払うという金融商品です。
REITは、不動産を売却しようとする企業にとっては、不動産流動化を通じて資産効率の向上等を図るというメリットがあります。それと同時に、金融商品としてみた場合、その仕組み上、安定的な分配金や相対的に高い利回りを期待し得ること等に加えて、インフレに強い等といった特徴を有していると考えられており、運用資産に組入れることによる分散投資の効果があります。さらに、REITは東証に上場し、株式と同様に売買が可能といったことから、投資者、とりわけ個人投資家の方々にとっても、無理のない金額で取得が可能で、株式や債券とは違った資産運用の機会が提供されるというメリットがあります。
個々人が自身のライフ・プランに合わせて、リスクを低減しながら長期的な視点で資産運用が求められている中、REITはそうしたニーズに応え得る一つの商品と考えられます。
ただし、REITは、その名のとおり、不動産に投資をするもので、その仕組みだけではなく、不動産及びREITが持つ『リスク』 というものを十分ご理解いただく必要があります。
そこで、投資者の方々向けのQA集「REITサポーター」を作成いたしました。本QA集により、REITへのご理解が少しでも深まればと考えております。
REITとは、投資者から集めた資金等で不動産を保有し、そこから生じる賃料や売却益が投資者に分配される商品です。投資者には投資証券(≒株券)が発行され、東証REIT市場で株式と同じように売買が可能です。つまり、REITへ投資することで、間接的に不動産に投資することができるのです。
このような商品が可能となったのは、平成12年11月30日に施行された改正投資信託法によって、それまでは「主として有価証券」への運用を目的として定義していたものが、不動産等も運用対象とすることが認められるようになったためです。
詳しくは後述しますが、REITには、(1)投資法人(会社型投資信託)タイプと(2)契約型投資信託タイプの大きく2つがあります。ただし、現在、東証に上場している銘柄もそうですが、今後も主に投資法人によるタイプが上場されると考えられています。この資料では、特段の断りがないかぎり、REITというと投資法人について説明しているとお考えください。
REITに投資するメリットは何でしょうか。企業(不動産保有者)サイドと投資者サイドの両面で考えてみることにします。
不動産証券化は、不動産を売却しようとする企業サイドとしては資産効率の向上等につながるものですが、これまでは特定の不動産を対象とし、かつ機関投資家向けの私募販売のものがほとんどでした。東証REIT市場の創設で不特定多数の個人投資家の参加も可能な市場ができ、裾野が拡大することで、企業サイドとしても従来よりも選択肢が増え、利便性向上につながることとなります。
不動産という資産は、他の金融商品と異なる特性があるため、資産運用において重要な役割を果たす商品であるといえ、機関投資家はたいてい何らかの形(実物や証券化商品)で不動産に投資し、運用しています。ただし、個人投資家が、実物の不動産に投資するのは、資金の問題等からほとんど不可能だったのが実状です。仮に、購入する場合でも、特定の物件に限られリスクが高くなります。
REITの場合、不動産運用の専門家が選別した様々な物件に分散投資されることになります。そして、不動産の総価値を小口化した投資証券を売買するため、個人投資家の方々にも手の届く金額で売買することができます。さらに東証において流通市場が整備されていることで、取引所においていつでも売買が可能になります。したがって、不動産に対する投資・運用が個人投資家でも可能になるというわけです。REITは、不動産の賃料収入等を分配金の原資にしており、安定した分配金、相対的に高い利回りといった特徴やインフレ・ヘッジ性が特徴といわれており、金融資産に組入れることによる分散投資の効果が期待されます。
収益の原資が不動産への投資から発生する賃料等という点では実物不動産への投資と同様の仕組みですが、その違いは以下のとおりです。
実物不動産は、売り手、買い手を捜して所有権の譲渡を行いますが、REITの場合、東証市場を通じて、いつでも売買が可能であるため、換金性という点では、大きなメリットがあります。
実物不動産は、投資金額の面から複数の不動産への投資が困難ですが、REITの場合、複数不動産への投資が可能であるため、投資リスクの分散化によるメリットを得ることができます。
実物不動産への投資は、数千万円という大口投資となりますが、REITの場合、不動産の総価値を小口化した投資証券を売買するため、個人投資家の方々にも手の届く1口数万円程度からという金額で売買することができます。
REITには大きく分けて、「投資法人(会社型投資信託)」タイプと「契約型投資信託」タイプの2種類となります。さらに、「契約型投資信託」タイプは、「委託者指図型投資信託」と「委託者非指図型投資信託」の2種類があります。
一般に“日本版REIT”とか“J-REIT”と言われているのはこのタイプです。現在、東証に上場している銘柄は全てこの投資法人タイプであり、今後も、この投資法人タイプが主流になると考えられています。
仕組みは、投資法人という不動産への投資・運用等を目的とした特別な法人が、投資者からの出資金等で不動産を保有し、「投資証券」を投資者に発行し、この投資証券が東証で売買され、不動産が生み出す利益は、一定の条件を満たせば法人税が引かれずにその投資主に分配されるというものです。このタイプの場合、不動産を保有・運用する「器」は投資法人という会社が担うわけです。ただし、あくまでも「器」ですので、実際の運用等は外部に委託されます。
通常の株式投信等の場合、運用を行うのは投資信託委託会社で、投資信託委託会社が信託銀行に運用の指図を行い、信託銀行が資産を保管することになります。
委託者指図型投資信託は、まさにそれと同じで、投資信託委託会社が不動産の選定・運用を行い、その指図のもとで、信託銀行が不動産を保管・管理することになります。基本的な仕組みは通常の投信と同じで、契約型投資信託の場合は不動産を保管する「器」は信託銀行で、発行され取引される証券は「受益証券」となります。
契約型投資信託タイプ:その2委託者非指図型投資信託とは、資産の運用も資産の保管も、ともに信託銀行が行うというもので、投資信託委託会社は介在しません。発行され取引される証券は「受益証券」です。

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投資法人 (会社型投資信託) |
契約型投資信託 委託者指図型 不動産投資信託 |
契約型投資信託 委託者非指図型 不動産投資信託 |
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| 資産保有者 | 投資法人 | 信託銀行 | 左に同じ |
| 資産運用者 | 資産運用会社 | 投資信託委託業者 | 信託銀行 |
| 発行される証券 | 投資証券 | 受益証券 | 左に同じ |
| 債券の発行 | 投資法人債・短期投資法人債の発行あり | なし | 左に同じ |
| 借入れ | 投資法人による借入れ可 | 受託銀行による借入れ可 | 左に同じ |
なお、これらはREITの「仕組み」による分類ですが、この他にも、「運用対象とする不動産の種類」(オフィスビル、商業施設、賃貸住宅などで分類)や「立地」(大都市圏、地方)などでREITを分類する場合があります。
投資法人タイプのREIT市場の仕組み・関係者の役割を図示すると、以下のとおりです。

投資法人とは、改正投資信託法に基づき、投資者からの資金をもとに不動産を保有・運用することを目的とした会社で、通常の株式会社と同じような投資主総会(≒株主総会)や役員会等がありますが、その実態は不動産を保有・運用するための「器」で、それ以外の業務は認められていません。投資法人の行う主な業務は、資産の運用・保管や投資証券の発行事務等ですが、投資法人が、これら資産の運用業務を直接行うのではなく、実際に運用を行うのは資産運用会社になります。
投資者は投資法人に出資し、投資証券を取得することになります。株式会社の新株発行に応募し、株券を取得するのと同じです。決算期には投資証券を保有している投資主に分配金が支払われることになります。これも配当金が支払われる株式と同じです。投資者は、株式と同じように、東証で投資証券を売買することになります。その際の売買ルールは株式と同様の取扱いです。
投資法人は資産の運用を直接行うことはできず、通常の投資信託と同様、資産運用を行う資産運用会社に委託することになります。したがって、資産運用会社はREITにおいて最も重要な役割を果たします。資産運用会社は、通常、投資法人の設立から関与して、その後は投資法人からの不動産運用の委託を受けて、いわば不動産を対象としたファンドマネージャーの役割を果たすことになります。対象物件の詳細を把握するとともに、より高い収益をあげるように資産を運用するわけです。必要に応じて保有資産の売却や新たな資産の分析・取得を行うことになります。このように、資産運用会社は、REITの運用において、株式投信のファンドマネージャーと同じように、リサーチ、銘柄(物件)選択、投資判断、取得・売却等の一連の役割を担うわけです。
投資法人は、資産の保管業務(実際は権利証の保管)を信託銀行等に委託し、分別管理されることとなります。また、株式の名義書換等と同様、投資証券の名義書換事務や発行事務等を信託銀行や証券会社に委託することになります。
不動産運営管理会社は、主に建物の管理と賃貸の管理を行います。建物の管理は、建物を長期間収益が出るべく使用できるように管理等を行うことであり、賃貸の管理は、月々の賃料請求や賃貸契約の更改交渉等を行います。
REITでは、投資証券や投資主といった言葉が出てきます。これはREITといっても、いわゆる投資信託ではなく、投資法人の場合、事業の目的等は異なるものの、株式会社と同じく、会社が投資者から出資を募り、株式を発行するといった点は全く同じためです。主な用語を比較すると以下のとおりです。
| REIT | 株式 |
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・投資法人 (不動産運用等のみを目的とした会社です。) |
・株式会社 (様々な事業活動を目的とします。) |
| ・投資口 | ・株式 |
| ・投資証券 | ・株券 |
| ・投資主、投資主総会 | ・株主、株主総会 |
| ・執行役員、監督役員 | ・取締役、監査役 |
| ・分配金 | ・配当金 |
REITの分配金は保有する賃貸収入がベースとなりますが、具体的にどのように分配金が生まれるのか、シンプルな例でみてみましょう。

REITが、①10万口で300億円を投資者から調達するほか、②200億円を借入れて、合計500億円で不動産を所有するとします。投資証券10万口で300億円の投資口発行ですので、一口当たりの純資産額(NAV:Net Asset Value)は30万円(300億円÷10万口)です。
不動産の1年間の賃貸収入が50億円とします。
200億円の借入れに伴う支払い利息を2%とすると4億円(200億円×2%)、運営経費等を30億円とすると、計34億円がコストとして収入からマイナスとなります。したがって、利益は50億円-(支払利息4億円+運営経費等30億円)=16億円となります。
通常の株式会社は、この利益に対して法人税を支払いますが、REITの場合は配当可能利益の90%超を分配することで法人税が免除されます。ここでは15億円(配当可能利益の93.75%)を分配することで考えてみます。
その結果、1口当たりの分配金は15億円÷10万口で15,000円となります。市場でのREITの価格が50万円とすると配当利回りは15,000円÷50万円=3%となるわけです。
このようにREITの分配金は、投資者に投資証券を発行することで調達した資金や、借入れ・債券発行等で調達した資金で不動産を保有し、そこから生じる利益をもとに支払われることになります。なお、投資法人が保有する物件の売却によって得られた資金を分配金の原資とすることもあります。
REITは、一般的に以下のような特徴のある商品と言われています。
REITの分配金は、保有する不動産等の賃貸料等が原資です。賃貸料等は基本的には定期的に予め決められた金額が入ってくるものですので、収益という面での大きなブレはなく、その結果、安定した分配につながります。
通常の株式会社の場合、収益の殆どを将来の事業のための資金等に充当することになりますが、REITは不動産投資を目的とする特別に認められた法人であり、必要な経費等を除き、配当可能利益の90%超を投資主に分配することによって法人税は免除される仕組みとなっています。
REITが株式と比較して高い分配金を期待されるのは、このような商品の仕組みにもあります。ただし、賃貸料等は、不動産市況や経済環境等、様々な外部要因によって影響されることは言うまでもなく、それらは分配金やREITの価格に影響を与えることとなります。したがって、リスクを無視して、安全性の高い国債や公社債と同列の商品として考え、それらと単純に利回りを比較することのないよう留意が必要です。
株式を発行する通常の事業会社の場合、様々な事業活動を行い、設備投資等を通じて事業・収益の拡大を図ることを営業活動の目的にしており、その株式は将来の見込み等をもとに取引が行われます。したがって、予想されていなかったニュースが流れることなどにより、株価は大きく上昇したり、下落することがあります。一方で、REITの場合は、不動産運用のみを目的とした会社で、収益の源泉は賃貸料等であり、突然賃貸収入が10倍になるようなことはないので、そのことにより市場価格が高騰(又は暴落)するという可能性は少なく、値動きは小さくなるといえます。
言い換えれば、株式の場合は、将来の成長を見込んで高い値上がり益を狙うという性格が強い商品である一方、REITは、賃貸料等を原資とした分配金の安定性や分配利回りの高さ等が特徴であり、いわば利回り商品的な性格があるわけです。もちろん、REITも株式と同じように市場で取引されるので、買付けた価格よりも売却時の価格が大幅に下落する可能性もある点には留意する必要があることは言うまでもありません。
あらかじめ利率が決まった債券等は、インフレになると、相対的に価値は低くなってしまいます。ところがREITは、債券に似た利回り商品的な特徴を持つ商品であるにも関わらず、一般的にインフレに強い商品と言われています。その理由は、REITの分配金の原資である賃貸料等は、一般的に物価にスライドする特徴があるため、インフレになっても価値が目減りすることは少ないからです。
ただし、分配金は、資産の入替え等による運用成果等にも左右されますし、賃貸料の水準も、経済情勢等が悪化すれば賃料が安くなるなど下振れする可能性がありますので、運用対象の不動産に係る外部環境の変化等によって影響を受けるという固有のリスクがあることに留意が必要です。
REITの上場基準は東証の規則で定められています。東証のREIT市場は、投資者が不動産への擬似的な投資の心積もりで投資に参加することを明確なコンセプトとしており、運用資産等に占める不動産等の比率や運用体制等、様々な点について定めています。主な基準は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
| (1)運用会社等の内容 |
・運用資産の総額に占める不動産等の比率…70%以上
・運用資産等の総額に占める不動産等、不動産関連資産及び流動資産等の合計額の比率…95%以上
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| (2)財務内容等 |
・純資産総額…10億円以上
・資産総額…50億円以上
・一口当たりの純資産総額…5万円以上
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| (3)上場投資口数 | ・4,000口数以上 |
| (4)投資主の分布状況 | ・投資主が1,000人以上 |
| (5)大口投資主(上位10位)の所有口数 | ・上場投資口数の75%以下 |
| 項目 | 内容 |
| (1)投資法人 |
・解散事由のいずれかに該当する場合
・破産若しくは再生手続きを必要とするに至った場合またはこれに準ずる状態になった場合
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| (2)運用会社 |
・金融商品取引業の登録が失効した場合 ・金融商品取引業の登録を取り消された場合 ・資産運用会社が投資信託協会の会員でなくなった場合 |
| (3)運用資産 |
・運用資産等の総額に占める不動産等の額の比率が、70%未満となった場合において、1年以内に70%以上とならない場合
・運用資産等の総額に占める不動産等、不動産関連資産及び流動資産等の合計額の比率が、95%未満となった場合において、1年以内に95%以上とならない場合
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| (4)上場口数 | ・4,000口未満となった場合 |
| (5)資産総額等 |
・純資産総額が、5億円未満となった場合において、1年以内に5億円以上とならない場合
・資産総額が、25億円未満となった場合において、1年以内に25億円以上とならない場合
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| (6)売買高 | ・最近1年間の売買高が20口未満である場合 |
| (7)分配金 | ・金銭の分配を行わなかった場合において、1年以内に金銭の分配を行わない場合 |
市場の透明性確保・投資者保護のため、投資法人に関する情報、運用資産の内容等の情報については、株式と同様、タイムリー・ディスクローズが求められています。
投資法人に関する情報として、投資口の追加発行や売出し、投資口の分割等の決定事項、業務改善命令等の発生事項、また資産運用会社に関する情報もディスクローズが求められています。
以下のような運用資産等に一定の変更や影響が生じる場合に、ディスクローズが行われます。
(1)一定の運用資産の譲渡や取得の決定(対象資産の価格が5,000万円以上)
(2)自然災害や劣化によって運用資産に一定の損害が発生(純資産総額の3%以上)した場合
(3)予想値より当期利益で30%以上又は分配金で5%以上の差異が見込まれる場合、にディスクローズされます。
決算の内容が定まった場合には、通常の株式と同様、決算短信による開示を求めておりますが、この中では、分配予想等に係る情報や運用資産等の価格に関する情報等についても記載されます。
なお、投資法人が保有している不動産の内容(物件、用途、価格等)やテナントビルの収益(テナント数等)については法律上も開示が求められますし、REITを保有すると毎年運用報告書が送付されるので、それをもとに運用状況を知ることもできます。
東証におけるディスクローズ情報は、通常の株式と同様、東証ホームページの「適時開示情報閲覧サービス」のコーナーにて開示と同時にご覧いただくことが可能です。
適時開示情報閲覧サービス
適時開示に加え、不動産投資信託証券の発行者等の運用体制等の情報を投資者に対して継続的に提供することを目的として、計算期間又は営業期間毎に不動産投資信託証券の発行者等の運用体制等に関する報告書の公衆縦覧を求めています。
不動産投資信託証券の発行者等の運用体制等に関する報告書は、東証ホームページの「東証上場会社情報サービス」のコーナーにてご覧いただくことが可能です。
東証上場会社情報サービス
REITは、将来の不動産市況やマクロ経済等の見込みに基づき投資判断が行われ、取引がなされますが、投資法人やそのREITの商品の仕組み上、分配金の安定性や配当利回りの高さ、インフレへの強さ等にあるといわれており、そのため、以下のような投資目的に利用されるものと考えられます。
REITは、その商品の仕組み上、分配金の安定性とともに、安全資産である国債や通常の債券と比較して、より高い利回りを期待する場合に適しています。ただし、何らリスクのないまま高い利回りを期待できるわけではありません。REITは不動産を対象とした金融商品であり、かつ、市場で取引される商品ですので様々なリスクがあることは言うまでもありません。
REITへの投資に限ったことではないですが、特定の種類の金融商品に全額投資をした場合、その商品が下落すると、丸々、自身の資産が損失を被ることになってしまいます。したがって、様々な性格を持つ商品をミックスして運用を行うことは、リスクを分散しながらリターンを得るうえで重要です。「卵をひとつのかごに盛るな」という格言はまさにそのことです。
例えば、自分の金融資産を全額国債に投資した場合、元本の安全性は高いですが、インフレとなると、相対的に価値が低くなってしまいます。一方のREITは、国債よりリスクは高いものの、相対的に高い利回りやインフレの強さを期待し得るわけです。(注)
したがって、安全性・安定した利息収入を求める資金を国債に、相対的に高い利回りやインフレ・ヘッジのためにREITに、より高いリターンを期待して株式や株式投信に、というように、年金等の資金運用を行う機関投資家と同様、様々な商品に分散投資し、リスクを低減しながら長期的に運用することがREITと上手く付き合うコツではないかと思われます。
(注)このようにREITは他の金融商品とは異なる性格を持っており、債券や株式を保有している場合の収益率と相関が高くない(連動性が低い)と一般的には言われています。したがって、市場環境が変化した時に、他の金融商品共々、損失が拡大するのではなく、リスクが分散されることが期待されます。
REITは、通常の株式のように、企業に投資するのではなく、投資法人という器を通じて不動産という実物資産に投資することとなります。その特殊性から、様々な専門的な投資分析・評価方法がありますが、簡便な尺度として、例えば以下のようなものが挙げられます。もちろん、ディスクローズ情報や、その時々の不動産市況や金利状況等も踏まえて、総合的に投資判断を行うことが必要なのは言うまでもありません。
一口当たりの純資産額(NAV)も一つの重要な判断材料です。特に類似のREITがないような場合には、重要な尺度の一つとなると考えられます。
株式もそうですが、一口当たりの純資産額と投資証券の価格の関係を比較してみてみるとよいでしょう。株式にはPBR(株価純資産倍率(株価÷NAV))という指標があります。例えば、NAVが50万円で価格が60万円というREITがあったとします。この場合、このREITのPBRは60万円÷50万円=1.2倍となります。一般的に、PBRが1倍よりも大きいということは、将来的にはNAVが現在よりも上昇しそうである等の判断により、REITの価値を市場が実際よりも高く評価しているということになります。
REITの大きな特徴は、相対的に高い配当利回りが期待できるという点にあります。
したがって、配当利回りは一つの投資判断の尺度となり得ます。過去の分配金や予想分配金をもとにどの程度の利回りを期待するか(利回り%=分配金÷株価)、他の銘柄や金利商品と比較しながら、投資判断を行うことが必要です。
もちろん安全性の高い国債等とREITは全く違う商品ですので、単に利回りの比較だけではなく、REITのリスクを十分に考慮に入れたうえで判断することが必須です。
投資法人の利益が高ければ分配金の増加にもつながります。
利益の水準を考える場合、株式と同じようにPER(株価収益率(株価÷1口当たりの利益))を求めてみて、他の銘柄と比較してみるとよいでしょう。
例えば、REIT Aの利益が40億円(上場口数20万口)で価格が50万円、REIT Bの利益が30億円(上場口数10万口)で価格が70万円、とします。
REIT AのPERは、50万円÷2万円(40億円÷20万口)=25倍となり、REIT BのPERは、70万円÷3万円(30億円÷10万口)=23.3倍、REIT Bの方が、1口当たりの利益の額は高く、かつ1口当たりの利益に対して価格が割安ということになります。
REITは、不動産を運用対象とする商品で、かつ、市場で取引されますので、不動産を取り巻く環境、不動産市況や金利動向、マクロ経済の変化等、様々な要因で分配金や価格は影響を受けます。主なリスクを挙げると以下のとおりです(以下の点を含め、REITのリスクについては、目論見書において詳しく記載されています。)。投資を行われる際には、こうしたリスクについて十分御理解のうえ、判断されることが必要です。
不動産市況の見込みや賃貸料の変動等、様々な要因でREITの価値や市場価格は影響を受けますので、買付けた価格よりも売却時点の価格が大きく下回る可能性があります。また、過去の分配金の水準が継続するといったことも保証されてはいません。したがって、国債のように安全性が高く、あらかじめ定められた利息の支払いや償還がなされる商品とは異なります。
不動産の評価額及び賃貸料等は、その時々の不動産市況やマクロ経済等、様々な要因によって影響を受けます。また、投資口の発行だけでなく、借入れ等を行っている場合、金利情勢の変化等に伴う当該借入れ等の金利負担等により、その変動幅が大きくなる可能性があります。
分配金は賃貸収入等を原資としますので、基本的には毎月の賃貸料が恒常的に入ってくることで分配金の安定化につながりますが、経済的な環境変化等により賃貸料が下落する可能性があるほか、借主が永遠に使用する保証はなく、解約に伴う賃貸収入の下落等の可能性もあり、それらは分配金・REITの価格に影響を及ぼすことになります。
REITは実物資産である建物等を投資対象にしているので、自然災害等に伴う影響という他の金融商品とは異なる固有のリスクがあります。
建物の用途規制等、不動産等に係る規制の強化や新たな規制がかかることにより、規制下となる不動産等の価値が、それまでより低下する可能性があります。
REITといっても、いわゆる一般的な株式投資信託とは異なり、株式と同じく市場で売り買いされる商品ですので、様々な要因によって市場価格は変動します。
また、投資法人が清算される場合、投資主はすべての債権者の弁済後の残余財産による分配から投資金額を回収することになるため、投資金額の全部又は一部について回収することができない可能性があります。
REITの売買は、以下のとおり通常の株式と同様のルールです。
株式と同様、証券コードが割り当てられており、全国の証券会社の支店、ネット取引に対応している証券会社ではインターネットを通じての取引も可能です。
東証上場の各銘柄の概要については、以下の東証ホームページでご紹介しております。
各投資法人のホームページへのリンクもございますので、ぜひご利用ください。
REIT市場がスタートした当初(2001年9月)は2銘柄で、2,000億円強の時価総額の市場でした。その後、上場銘柄も増加したほか、投資口の追加発行(いわゆる増資)が行われ、ピーク時(2007年5月)は約7兆円に達し、その後サブプライム問題を端に発した世界的金融危機の影響を受け、現在(2009年3月)では40銘柄で 約2.5兆円の市場規模となっています。

REIT市場は、スタートした翌日には米国同時多発テロが発生し、また株式市場全体も軟調に推移するなど、厳しい船出となりました。しかしながら、徐々にREITの知名度は高まり、相対的に高い利回りや分配金実績等が評価されたことに加え、配当減税、東証REIT指数の公表、MSCI-JAPANという日本株指数への採用、ファンド・オブ・ファンズの解禁(投資信託へのREIT組入れ)等もあり、その後、市場価格は堅調に推移し、2007年5月には東証REIT指数は公表以来最高値(2,612.98)を付けました。しかし、その後前述のとおりサブプライム問題を端に発した世界的金融危機の影響を受け、現在(2009年3月末)、1,000を切る水準で推移しています。

投資部門別の売買状況をみると、既に海外でREIT投資に実績のある外国人投資家の参加が特に近年積極的に参加しています。また、個人投資家及び国内の金融機関等についても、引き続き主要な参加者となっています。

東証REIT指数は、株式市場における指標であるTOPIXと同じく時価総額加重平均型の指数で、REIT市場全体の時価総額がどれくらい増減しているかをあらわします。
東証REIT指数はREIT市場全体の動きをあらわす役割に加えて、資産運用のベンチマークとしての機能をあわせもっています。
東証REIT指数は、東証のホームページでリアルタイムの数値を公表しています。
以下では、個人投資家の方々が、口座開設から買付け、分配金の受領、売却を行う場合のコスト等について説明します。基本的に株式と同様です。
REITの売買は通常の株式と同様、証券会社を通して行われますので、売買の際にはその証券会社が定める委託手数料等が必要となります。また、新たに口座を開設する場合は口座管理手数料が必要となります。(いずれの手数料も証券会社により異なります。)
証券税制及び証券税制の改正については以下のホームページをご覧ください。なお、情報の正確性については万全を期しておりますが、東京証券取引所は利用者が当ホームページの情報を用いて行う一切の行為について、何ら責任を負うものではありません。実際の税務上の取扱い等につきましては国税庁・税務署・税理士等にご相談ください。
ETF(上場投資信託)は、その価格が株価指数や商品指数などに連動するように作られ、証券取引所に上場されている投資信託です。
REITに関するETFは、以下ページにてご覧いただけます。(東証REIT指数に連動)。
これらのファンドは、東証REIT指数に採用されている銘柄または採用が決定された銘柄の不動産投資信託証券のみに投資を行ない、東証REIT指数に連動する投資成果を目指します。
ETFの詳細については、以下のホームページをご覧ください。
東証REIT指数先物取引とは、東証REIT指数を取引対象とした指数先物取引です。主な特徴としては以下が挙げられます。
東証REIT指数は東証市場に上場するREIT全銘柄で構成されているため、個別銘柄の動向に左右されることなく、REIT市場全体の相場を予想して投資することができます。
先物取引では、取引所に一定の証拠金を差し入れて、証拠金以上の売買ができる取引です。小額の投資資金(証拠金)で大きなリターンが期待できることをレバレッジ効果といい、レバレッジ効果により資金を効率的に運用することができます。ただし、その分ハイリスクな商品でもあることをご留意ください。
REIT市場全体の相場が下落局面になると予想した場合でも、REIT指数先物を「売る」ことで収益チャンスを狙うことができます。ただし、思惑に反して相場が動いた場合には、損失になってしまうことをご留意ください。
先物取引は定められた期限(限月)に満期となり、その期日を迎えると自動的に決済され、損益が確定します。そのため、期日については予めよく注意する必要があります。なお、REIT指数先物では3月、6月、9月及び12月のうち、直近の3つの期日を満期とする取引が常に上場しています。したがって、ある期日を越えてポジション継続をするためには、満期前に次の期日を満期とする取引に乗り換えることでポジションを継続することができます。
東証REIT指数は株式などと違い、抽象的な指数であるため、先物取引の期限がきても、形のある物を受け渡すことはできません。したがって、東証REIT指数先物取引の決済は、すべて差金の授受により行います。決済方法には、取引最終日までに転売又は買戻しによって決済する方法と、最終決済期日に最終決済する方法があります。最終決済は、最終清算指数(S.Q.)によって行われます。
以上より、東証REIT指数先物を取引する場合、REIT市場全体の相場に小額で取引できる反面、証拠金を差し入れて、その数倍~数十倍の額の取引を行うため、リスクを十分理解する必要があります。しかし、取引の仕組みやリスクについて理解できれば、投資する方の状況や目的に沿った魅力的な資産運用の方法となるといえます。
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取引時間 (立会) |
取引時間 (ToSTNeT) |
呼値 | 乗数 | 限月の数 |
1単位あたりの 証拠金額のベース (09年4月末現在) |
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東証REIT指数 先物 |
9:00~11:00 12:30~15:10 16:30~11:00 |
9:00~11:00 12:30~15:10 16:30~11:00 |
立会:0.5 ToSTNeT:0.1 |
×1,000 | 3 | 7.5万円 |
詳細については以下のホームページをご覧ください。
では、実際にはREIT指数先物が取引手法別にどのように使われているのか以下をご覧ください。
スペキュレーション取引とは、価格変動を利用して利益を得る取引行為のことで、相場を予想してキャピタルゲインを得ます。実物不動産を保有することなく不動産エクスポージャーを確保したい投資家や実物不動産の個別リスクを負うことなく不動産関連投資による利益獲得を図ろうとする投資家がREIT指数先物を利用しています。
「先物の買い」

「先物の買い」

ヘッジ取引とは現在保有しているかまたは将来保有する予定のある現物の価格変動リスクを回避または軽減するために、先物取引において現物と反対のポジションをとる取引をいいます。保有REITの価格変動をリスクヘッジしたい投資家やREITへの資金供給を行っている金融機関等がREIT指数先物を利用しています。
アービトラージ取引とは市場間の価格差を利用して利益を狙う取引をいいます。例えば、現物REITの価格とそこから導き出されたREIT指数先物取引の理論価格との差異が発生している場合などにアービトラージ取引により利益を狙うことができます。
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2008年 6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
2009年 1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
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| 取引高 (単位) | 7,541 | 5,933 | 12,560 | 21,292 | 21,859 | 3,232 | 17,505 | 237 | 1,093 | 9,753 | 984 |
なお、現在、当取引所では、指数先物取引市場活性化の目的で指数先物取引サポート・メンバー制度を採用しており、以下のメンバーのご協力を得ています。
先物指数等の詳細については、以下のホームページをご覧ください。
現在上場不動産投資法人等のホームページでは、各社の運用方針や運用プロセス、運用資産の状況や決算情報等について情報提供を行っていますので、投資判断の材料にしていただければと思います。
なお、東証は、ホームページ上にREITスクエアを開設しています。これはREITの啓蒙・広報活動を目的に、投資者の方々が、REITとは何か、市場の仕組み、売買ルール、上場銘柄の情報についてワンストップで入手できるようにしたものです。
逐次、コンテンツを拡充させてゆく予定です。
米国では1960年にREIT市場が誕生しましたが、大きく市場として成長したのは90年代に入ってからで、2006年末には上場銘柄数は183、時価総額は約44兆円に達しましたが、その後サブプライム問題を端に発した世界的金融危機の影響を受け、現在(2009年2月末)では、上場銘柄数は135、時価総額は13兆円程度となっています。
また、REIT市場の特徴としては、日本のように様々な種類の不動産に投資するREIT(エクイティREIT)のみではなく、不動産向けローンに投資するモーゲージREITや、不動産と不動産向けローンに投資するハイブリッドREITといったREITもあります。
| 用途 | 銘柄数 | 時価総額(百万ドル) | |
|---|---|---|---|
| エクイティREIT | 112 |
114,774.8 |
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| オフィス/産業用 | 27 |
22,382.2 |
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| 商業施設 | 25 |
25,514.6 |
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| 住居 | 18 |
17,275.8 |
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| 分散投資型 | 9 |
7,420.2 |
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| ホテル | 11 |
3,945.4 |
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| ヘルスケア | 11 |
17,418.7 |
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| トランクルーム | 4 |
10,583.4 |
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| 特殊用途 | 7 |
10,234.4 |
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| ハイブリッドREIT | 3 |
915.9 |
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| モーゲージREIT | 20 |
12,841.9 |
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| 住宅向けローン | 10 |
12,336.1 |
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| 商業不動産向けローン | 10 |
505.8 |
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| 合計 | 135 |
128,532.8 |
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*出所) NAREIT資料より東証作成
なお、米国のREIT市場がこのような拡大を遂げた背景として、REITに不動産を現物出資した場合の課税繰り延べという税制面の優遇措置(UP-REIT)が講じられたことや、外部に資産運用や管理を委託するのではなくインハウス(自家)運用が認められたことにあると言われています。
このQA集は、2009年3月末現在の法令や諸制度等をもとに、REITの商品性や売買制度等の内容を平易に解説するために作成したものです。したがって、その内容はそれぞれの項目を必ずしも完全に網羅したものではありません。詳細な内容については、それぞれの法令や規則等によるところとなります。また、実際の売買においては、目論見書等の資料をもとに、商品・制度の内容について十分御理解いただいたうえで、お客様の判断とリスクで行っていただく必要があります。このQA集に関する著作権は東京証券取引所にありますので、一部又は全部を無断で転用、複製することはできません。