信用取引に関して、一般の投資者の皆様からご質問の多い内容について、以下のとおりQ&A形式に取りまとめました。
さらに詳しい内容につきましては、当取引所発刊の「東証公式 株式サポーター 信用取引編」を併せて、ご参照ください。
株式市場の役割は、新たに株券を買いたい人や現在持っている株券を売りたい人に売買の場を提供することですが、この役割を十分に発揮するためには、いつでも売買が可能な高い流動性と円滑・公正な価格形成が求められます。
そこで、実際に株券を買うための資金を持っている投資者や売るための株券を持っている投資者による需給(実需給)に加えて、手持ち資金や手持ち株券がないが、買ってみたい、売ってみたいという投資者による需給(仮需給)も信用取引という手段を通じて取り込むことによって、市場に参加する需給の量の拡大と価格形成に反映する投資判断の多様化が進み、流動性の向上とより円滑・公正な価格形成が実現できると考えられています。
株価の値動きが売買をする際の投資判断とは異なった結果となった場合には、差し入れた委託保証金以上の損失を被る危険性があります。
実際に株券を買うための資金を持っている投資者や売るための株券を持っている投資者による需給(実需給)に加えて、手持ち資金や手持ち株券がないが、買ってみたい、売ってみたいという投資者による需給(仮需給)も信用取引という手段を通じて取り込むことによって、上場銘柄の売買に参加する需給の量の拡大と価格形成に反映する投資判断の多様化が進み、流動性の向上とより円滑・公正な価格形成が実現できると考えられています。
また、こうした流動性の向上によって、さらに新たな投資者の参入が容易になり、株価変動率をより小さくする(価格形成をより安定的にする)効果があるといわれています。
信用取引の種類には2つあり、そのうち、品貸料(逆日歩)(問7参照)、返済期限及び株式分割などの権利が付与された際の権利処理方法が証券取引所の規則により規定される信用取引は「制度信用取引」といい、これは上場銘柄のうち、証券取引所が選定した銘柄(制度信用銘柄・貸借銘柄)に限り行うことができます。
一方、品貸料、返済期限及び権利処理方法について顧客と証券会社の間で決定することができる信用取引は「一般信用取引」といい、これは上場銘柄のうち、証券会社が取り扱うと決定した銘柄(上場廃止基準に該当した銘柄を除く)について行うことができます。一般信用取引においては制度信用取引と異なり、証券会社が証券金融会社(問6参照)から信用取引に必要な資金や株券を借りることはできません。
一般信用取引のうち、原則として返済期限を設けないものを「無期限信用取引」と呼んでいる証券会社もあります。
なお、一般信用取引については、取り扱っていない証券会社もあることから、事前の確認が必要です。
制度信用取引においては、上場銘柄(株券、優先株、ETF、REIT)のうち、証券取引所が流動性その他の基準に基づいて「制度信用銘柄」及び「貸借銘柄」に選定した銘柄についてのみ、信用取引を行うことができます。
制度信用銘柄においては、証券会社が信用取引の買方の顧客に貸し付ける資金を、証券金融会社(問6参照)から借りることができます。
貸借銘柄においては、証券会社が信用取引の買方の顧客に貸し付ける資金と、売方に貸し付ける株券の両方を、証券金融会社から借りることができます。
こうした結果として、信用取引の売方に貸し付ける株券を独自で調達することができない(又はしない)証券会社においては、制度信用銘柄についての信用取引の売付けができないことになります。
なお、証券会社によっては、さらに自社のルールによって独自に制度信用取引の注文を受け付けない銘柄を定めている場合があり、事前の確認が必要です。
一方、一般信用取引については、上場銘柄(上場廃止基準に該当した銘柄を除く)のうち、証券会社が取り扱うと決定した銘柄について信用取引を行うことができます。
信用取引は、顧客(投資者)が委託保証金を証券会社に担保として差し入れ、新規の買付けの場合は買付資金を、新規の売付けの場合には売付株券を、それぞれ証券会社から借りて売買を行う取引です(弁済する際には、反対売買又は現引き・現渡しの方法により、借りた資金又は株券を証券会社に返済することになります)。
証券会社が顧客の信用取引の新規の売買注文を受けるためには、信用取引の買方の顧客に貸し付ける資金や、売方に貸し付ける株券を調達する必要がありますが、各証券会社が独自にその全てを調達することは困難です。
この場合において、「証券会社に対し、信用取引(制度信用取引(問4参照))に必要な資金や株券を貸し付ける」という役割を果たしているのが証券金融会社となります。証券会社の多くは信用取引に必要な資金・株券を、証券金融会社から借りています。(証券金融会社がこのように資金・株券を貸し付けることを貸借取引といいます。)
証券金融会社は、金融商品取引法に基づき内閣総理大臣の免許を必要とする会社です。現在は全国で3社(日本証券金融(株)、大阪証券金融(株)及び中部証券金融(株))があり、東証では日本証券金融(株)を指定証券金融会社として指定しています。
証券会社の多くは制度信用取引に必要な資金・株券を証券金融会社から借りていますが(問6参照)、証券金融会社において、証券会社への貸付けが増加したために株券が不足した場合には、証券金融会社は証券会社、機関投資家、株主などに対して借り賃を支払い、株券を借りてきて調達します。
この調達の際には、証券金融会社において行われる入札によって、証券金融会社に株券を貸す貸主と、証券金融会社が貸主に対して支払う借り賃が決定されます。
この借り賃は「品貸料」と呼ばれるもので、証券金融会社が証券会社に転嫁し、これを証券会社はさらに制度信用取引の売方の顧客に転嫁します。(「逆日歩」とも呼ばれています。)
信用取引の売りを行う場合には、こうしたコストが事前の予告なく発生する可能性があることについて注意する必要があります。
信用取引の新規の「売り」は、投資者が証券会社から株券を借りた上で、その証券会社を通じて市場で売却するという行為です。
「空売り」とは、投資者が株券を借りた上で売却する行為全般を指し、この場合は、信用取引制度を利用して(上記の通りの方法で)売却する方法を含みますが、それ以外にも、信用取引制度を利用せずに、例えば投資者が株券を株主から借りてきて売却するといった方法も含んでいます。
「空売り」は「信用取引の売り」を包含する、より大きな概念となります。
信用取引に関する規制・措置としては、主なものとして、証券取引所による「日々公表」及び「規制(委託保証金の引上げ)」と、証券金融会社による「貸株注意喚起(貸株利用等に関する注意喚起通知)」及び「貸株申込停止(貸借取引申込みの制限又は停止)」が挙げられます。
証券取引所による「日々公表」及び「規制」は、信用取引の過度の利用による市況の過熱を防止するという目的のために、原則として数値基準によるガイドラインに基づいて行われるものです。(問10参照)
信用取引に係る委託保証金の率の引上げ措置等に関するガイドライン
一方、証券金融会社による「貸株注意喚起」及び「貸株申込停止」は、信用取引に必要な株券を証券会社に貸し付けている証券金融会社(問6参照)において、貸し付けるための株券が不足して調達が困難となるおそれがある場合、又は調達が困難となった場合に、それぞれ行われるものです。(問11参照)
証券取引所の行う規制と、証券金融会社の行う措置とは、実施する主体と目的が異なることにご注意ください。
信用取引に関する東証の主な規制・措置としては、「日々公表」及び「規制(委託保証金の引上げ)」があり、これらは信用取引の過度の利用による市況の過熱を防止するという目的のために行われています。
「日々公表」は、信用取引の過度の利用を未然に防止するために、通常は週に1回公表される個別の銘柄の信用取引残高を、信用取引の利用が活発である銘柄については毎日公表することで、投資者に注意を呼びかけるものです。
また、「日々公表銘柄」のうち、信用取引残高が継続的に増加している銘柄を「特別周知銘柄」として公表し、周知を図っています。
「規制(委託保証金の引上げ)」は、信用取引の利用が過度であると認められる銘柄について、通常、新たに行われる信用取引に係る委託保証金率の引上げ及び、一部の現金での徴収という措置を実施するものです。(この規制を、「増担保(ましたんぽ)規制」と呼ぶ投資者もいるようです。)
これらの日々公表及び規制の実施・解除は、「信用取引残高」、「株価(25日移動平均との乖離)」、「信用取引売買比率(売買高に占める信用新規売付比率及び買付比率)」といった数値基準によるガイドライン(「信用取引に係る委託保証金の率の引上げ措置等に関するガイドライン」)に基づいて行っています。
信用取引に係る委託保証金の率の引上げ措置等に関するガイドライン
証券会社によっては「信用売りの停止」、「信用売りの禁止」、「売り禁」、又は「信用売りの規制」などと呼んでいるところもあるようです。
信用取引の新規の売付けにおいては、証券会社が売方の顧客に対して株券を貸し付けることになりますが、多くの場合には証券金融会社が必要な株券を証券会社に貸し付けています(問6参照)。
しかし、証券金融会社において、証券会社への貸付けが増加したために株券が不足し、調達が困難となった場合には、その銘柄について、証券会社に対し「株券が手元になく、これ以上貸すことができない」として貸株の申込みを受け付けない措置(「貸株申込停止」)を行うことがあります(問9参照)。
こうした措置がとられた場合、独自でその銘柄の株券を調達することができない(又はしない)証券会社では、信用取引の新規の売付けに必要な株券を顧客に対して貸せなくなるため、信用取引の新規の売注文を受けなくなります。
以上のとおり、貸借銘柄において「信用取引の売付けができない」という場合には、原則として、証券会社が信用取引の売方に貸し付ける株券がない、ということがその理由になっています。この状況を「規制」や「禁止」と呼ぶ投資者・証券会社もあるようですが、その実態としては何らかの機関(当局や証券取引所など)が投資者の信用取引の売付けを規制・禁止しているのではない、ということにご注意ください。
また、信用取引の買方の顧客による現引きについても、証券会社が顧客に渡すための株券を調達する必要が生じます。よって、証券金融会社が証券会社に対して株券を貸せなくなった場合には、上記と同じ理由により、証券会社が現引きの申込みを受けなくなることがあります。
信用取引による新規の売付け(投資者が証券会社から株券を借りた上で、その証券会社を通じて市場で売ること)を含む空売り(投資者が株券の保有者から株券を借りた上で売る行為)を取引所の立会市場で行う場合においては、その売り付けることができる価格についての規制があります。(信用取引の売りと空売りの関係については問8参照)
この規制は、法令(金融商品取引法施行令第二十六条の四)によって定められており、以下の行為が禁止されています。
ただし、こうした規制の例外の一つとして、個人投資者等(注)が行う1回当り50単位以内の信用取引については、売る価格について規制がかからないことになっています。
なお、価格規制を回避する目的のために50単位を超える注文を分割して発注することは認められず、こうした発注については価格規制を回避するための不公正取引とみなされることがありますのでご注意ください。
投資者が信用取引の新規の買付けのために証券会社から資金を借りたり、信用取引の新規の売付けのために証券会社から株券を借りたりして、その借りた資金や株券を返済していない場合における資金や株券の量を信用取引残高といいます。
信用取引残高として表示されている資金及び株券については、売残高(貸し出されている株券)については市場での買戻し又は現渡し、買残高(貸し出されている資金)については市場での転売又は現引き、によって、いずれ返済されることとなります。
この差異は、東証と日本証券金融(株)が公表している「残高」の内容が異なることによるものです。 当取引所が公表する「信用取引残高」は、東証市場において行われた信用取引に係る全ての残高(未返済建玉)です。
一方、日本証券金融(株)が公表している「融資・貸株残高」は、証券会社が日本証券金融(株)から借りている資金・株券の残高のみを示しています。
したがって、制度信用取引のうち証券会社が日本証券金融(株)から借りずに、独自に調達してきた資金・株券を顧客に貸し付けて行うものや、一般信用取引の部分が含まれていないため、両者の数値には差異が生じる(「信用取引残高」は常に「融資・貸株残高」と同じか又はより大きい)こととなります。(制度信用取引と一般信用取引の違いについては問4参照)
評価損益率とは一般に、信用取引の買方が保有する信用取引残高(買残高)に対する評価損益の割合を指しているものとされています。
この数値は東証が算出・公表しているものではなく、東証が毎週公表している「信用取引現在高」の数値をもとに、新聞社その他のメディアが独自に算出して公表しているものです。